TypeD
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アスリートを食生活から支える仕事

管理栄養士

フリーランス
細野恵美さん

アスリートの勝利を栄養の知識からサポートしたい!

アスリートの食生活を支援しています。競技力向上のために栄養分析をして過不足がないか確認します。選手に必要な栄養を摂取できるレシピを提案したり、実際に食事を作ったりする仕事です。人間の体が一人ひとり違うように、必要な栄養も人によって違います。日々変わるアスリートのコンディションに配慮する細やかさが大切になってきます。

  • #人の役に立つ
  • #自分ひとりのペースで進める
  • #コツコツと達成する
  • #フリーランスで働く
  • #ものをつくる・表現する

今している
仕事について

―どんな仕事?

「何をどれくらい食べればいい?」
アスリートの食事を助ける仕事

現在はフリーランスの栄養士として個人のアスリートやスポーツチームと契約を結んでいます。契約先の要望に沿って毎日の食事作りや試合前・試合後の補食、海外遠征先で口にするものについて助言をしてあげるような立場です。チームが利用する食堂の献立を考えたり、個人の選手にはメッセージでアドバイスを送ったり、ときにはお弁当を作って持たせるなど、さまざまな方法でサポートしています。3食分をすべて作って渡すことは難しいため、普段から自分で選択できる力を身につけられるよう栄養についての知識を持ってもらえるような指導も行っています。

―仕事をするうえでのこだわりは?

ストレスにならないよう
負担のかからない方法で行うこと

栄養指導をするといっても「これを食べなさい、あれを食べてはいけません」などと一方的に押し付けることがないよう心がけています。健康を損ねない範囲であれば、基本的にはアスリート本人が食べたいものを食べてもらうようにしています。そのうえで、不足している栄養を補う食材をとってもらうという方針です。アスリートにとって食の選択は大切なことですが、制限が厳しいせいでストレスでいっぱいになってしまい、パフォーマンスを発揮できなかったら元も子もないからです。本人にとって負担のない方法を常に模索しています。

―今の仕事の魅力とは?

アスリート自身の努力や変化を
間近で見ることができる

表舞台からは見えない本人の頑張りを間近で見られるのがこの仕事の醍醐味です。特に怪我をしてしまった選手は肉体だけではなく精神的にも苦しい状態に陥ります。休んでいても何かできることはないかと考えるようになるため、それまであまり食事に気をつかってこなかった選手が栄養の大事さに気づいてくれるなんてこともあるのです。試練をなんとか乗り越えようとする姿を見ると、一緒になって頑張っていこうと私自身も気が引き締まります。少しずつ怪我が良くなり、リハビリを経て、いよいよ復帰戦を迎えるときは感動もひとしおです。

―自分の好きをどう仕事に生かしていますか?

お世話好きで親しみやすい性格が
サポートの仕事に向いている

もともと人のことがなんだか気になってしまう性格です。小さいころから家族には人の役に立つ仕事に就きなさいとずっと言われ続けていました。だからなのか、誰かの力になりたいと思う気持ちが人一倍強いのだと思います。食生活の指導は私生活にも入り込むような仕事です。アスリート本人とは程良い距離感を保つように気をつけていますが、ちょっと笑わせるような冗談を言ってみたり、あだ名をつけてもらったりして、少しずつ打ち解けるように心がけています。親しみやすいキャラクターであれば相談をしやすいだろうと思うからです。

「この食べ物とこの食べ物、どちらがいいですか?」。個人のアスリートが依頼主の場合は、本人が食べたい食材を使いながら、栄養学に基づいてメニューを考えていく。栄養計算はソフトウエアを駆使して算出。

食事を満足に用意することもできないほど多忙な選手の場合は、お弁当を調理して持たせることも。海外遠征へ行く選手ならば、検疫の対象にならない乾物を持たせるなどして栄養をカバーしてもらうなど工夫を凝らす。

「試合の前に食べるのはこれでいい?」。メッセージがきたらすぐに返信をしないと選手は食べ物を口にできずに困ってしまう。スマートフォンは肌身離さず持ち歩き、レスポンスはすばやく返すように心がけている。

現在はフリーランスとして働く。営業はせず、知り合いから仕事を依頼されることがほとんどだ。「引退してコーチになった選手が教え子に栄養指導をしたいと言ってくれます。そういうご依頼はとてもうれしい」と言う。

アスリートの健康と勝利の力になりたい。「なんだか調子がいいよ」と言われると、役に立てたかなとうれしく思います。

先輩の
進路ヒストリー

―今の仕事につながるきっかけは?

語学から食に興味が変化し専門学校へ
味気ない病院食にショックを受けたことが転機に

高校時代は外国語を使った仕事をしたいと思い、大学は中国語専攻を選択。海外旅行が趣味になり、各国の食文化に触れて就職先は食品系の企業がいいかもしれないと思うようになりました。卒業後は飲料メーカーに就職し、会長秘書として働きました。ところが会長が病気を患い、入院することに。そして提供される病院食を目の当たりにし、ショックを受けてしまいました。あまりに味気なく、食べる楽しさや喜びにも乏しく、この食事で人が元気になれるのだろうかと考えてしまったのです。会長が亡くなったのを機に会社を退職し栄養士になることを決意。思い切って専門学校に入学し直しました。栄養士になったら地元の千葉で働きたいと思っていたある日、地元の電車の中に偶然、千葉ロッテマリーンズのバレンタイン監督が! 思い切って英語で声をかけました。そして「I can support」と宣言。監督は驚いていましたが後日、面談を取り付けました。精いっぱいアピールをして、球団スタッフとして採用されました。

先輩のいままで年表

高校2年生

海外にあこがれ英語が得意に。しかし英語ができる人は多いと気づき、社会の戦力になるために違う言語に挑戦する意欲がわいてくる。「これからはアジアの時代」と聞き中国語を学ぼうと考える。

高校3年生

空港のグランドスタッフを夢見る。大学か専門学校か進学先に迷い、友人を誘って成田空港へ。空港にいたキャビンアテンダントに声をかけその場で進路を相談! 「大学に行ったほうがいい」と聞く。

大学1~4年生

大学へ進学。中国語を専攻しつつ、アルバイトをしてお金を貯めて国内外の食べ物や飲み物を楽しむことが趣味になり、興味の対象は語学から食や食文化へ徐々に移っていく。

専門学校3年め

飲料メーカーを退職、専門学校へ。偶然「選手の食生活を良くしたい」と思案していた監督と縁があり、千葉ロッテマリーンズの球団スタッフとしてチームの食環境の改善と選手の栄養指導を行う。

社会人6年め

食品メーカーのアスリート支援施設に転職。以降はフィギュアスケートやテニス、スキージャンプなど、各競技界のトップアスリートの栄養士として働く。

社会人18年め

仕事は順調だったが食品メーカーの栄養士としてできることに限界を感じる。栄養の力をさまざまな方法で最大化できる方法を模索するため、フリーランスの栄養士に転身。同時期に出産も経験する。

先輩が大切にしてきた価値観は?

初めに選んだ道をあとから変えてもどうにかなる。だからチャンスは逃さずに。

未来につながる
先輩からのヒント

―仕事を通してこれから叶えたい・考えていきたいことは?

AIが自動で栄養計算をしてくれる時代
人間にしかできない仕事をするには?

スマホアプリを使えば食事の写真からだいたいの栄養がわかるようになってきました。そのため今後は人間にしかできない栄養士の仕事をしたいと考えています。例えば「最近調子が悪い。きちんと食べているけど元気が出ない」という何気なく出たひとことを聞いて「そういえば寝不足だった」と本人が答えを見つけられる相談相手になってみたり、栄養の吸収効率を高めるために心身の状態を改善できるようにお手伝いをしたり。そのような、人ならではの力を発揮していきたいです。

―その目標を実現する上での課題は?

栄養学の専門性をもちつつも
専門性の殻に閉じこもらないこと

例えば、3人の人が同じものを食べても、栄養の吸収のしかたも排泄も三者三様です。その人に合った食生活を考えるとき、「何を何グラム食べたらいい」という栄養学だけで答えを導くのは難しいのではないかと考えています。栄養学という一つの分野の中に留まるのではなく、薬膳や漢方の考え方を参考にしたり、メンタルヘルスや睡眠、コミュニケーションなど、ヘルスケアの広い知識を総合的に活用したりして、人をいい状態に導く。そういった意識でいなくてはと思います。

先輩から高校一年生への
アドバイス

進路はあとから変わっても
大丈夫。「ここぞ」という
チャンスをしっかりつかもう

私の場合、栄養士になろうと思ったのは社会人になってからで、遅いスタートでした。人生は長いので進路を途中で変更してもどうにかなります。ただ「チャンスがきたら何が何でも離さないぞ」という心の準備だけはしておいてもいいかもしれません。

この仕事人と関わりが深い 学問 は …「 栄養・食物学 」

「 栄養・食物学 」の文理度合い

  • 理系
  • 文系

※仕事にはさまざまな学問の知識がかかわりますが、その中で代表的な学問を表示しています。