

動物の命を守り、飼い主さんに安心を届けるために
動物の診療補助や健康管理を行う仕事
日本動物医療センター メディカルケアセンター
亀井 優さん
夜間救急もある動物病院に勤務し、動物の診察・検査・手術に当たる獣医師のサポートや、入院している動物の看護やリハビリテーション補助、健康管理などを行っています。飼い主の方とのコミュニケーションを取ることも重要な仕事で、獣医師の指示を踏まえて家庭でのより良い看護法やしつけ、飼育のアドバイスなどを行います。
―どんな仕事?
24時間診療体制で動物の命を守り、安心を届ける仕事
外来診療だけの動物病院とは違い、夜間救急もある24時間診療体制の病院なので、1日の診療件数は100件を超えることも。日勤、遅番、夜勤のシフト勤務で、動物たちの変化も見逃さないように獣医・看護師・トリマー・受付の4人で情報共有をするチーム医療を行っています。動物看護師は動物のバイタルチェックや診療中の獣医のサポートのほか、薬や点滴の準備や補充、入院動物のリハビリプランの提案や食事作りなどを担当します。少ない人数で対応する夜勤のときは、チームで手分けをしながら救急搬送や緊急の電話相談の対応なども行います。

―仕事をするうえでのこだわりは?
いつも笑顔で仕事をし、働きやすい雰囲気を作ること
いつも笑顔で仕事をすることで、不安を抱えて来院される動物と飼い主さんに安心感を与えると同時に、スタッフの緊張をほぐして働きやすい雰囲気を作ることを大切にしています。今、5年め。少しは余裕をもって仕事ができるようになりましたが、1年めは覚えることが山ほどあり、先輩に「これでいいですか?」と確認をしながら緊張の中で仕事をしていました。そんなときも先輩が笑顔でていねいに教え、励ましてくれたから、仕事を続けてこられたと思っています。ぼくも、いつも笑顔で後輩たちの話を聞いてサポートできる存在でありたいです。
―この仕事の大変な点と、仕事で得られるよろこびは?
看護やリハビリが大変なほど、回復してくれたときはうれしい
診療件数は年々増えていますし、動物たちの高齢化が進み、末期がんや糖尿病、認知症など、難しい症例も増えています。常に勉強をしていないと良いケアはできません。事故に遭った子が搬送されてきたら時間との戦いです。ICUに入っている子たちは、わずかな変化も見逃せません。命と向き合うプレッシャーはありますが、看護やリハビリが大変だった子ほど、回復してくれたときは本当にうれしいです。動物たちの笑顔や元気な姿に癒されますね。そしてもちろん、飼い主さんからの笑顔の「ありがとう」も、この仕事をやっていてよかったと思う瞬間です。

―印象に残っているできごとは?
飼い主さんと共に、1年間入院していた子を看取ったこと
一昨年から、てんかんの持病で入院していた柴犬の看護を担当していました。1年間の入院中にお家に帰ることができたのは数日だけ。どんな治療がいいのか飼い主さんも悩まれ、ぼくたちもチーム全員で考えてきましたが、残念ながら昨年の夏に亡くなってしまいました。それでも、飼い主さんから「ありがとうございました。この子を看取れてよかった」と言っていただいたことが、印象に残っています。たとえ回復しなくても、最期の時まで命を大切にすることが、飼い主さんの幸せにつながるのだと実感しました。

仕事の必需品、動物の健康状態を知るために欠かせない聴診器、放射線の個人被曝線量を測定するフィルムバッジ、動物用の直腸体温計。体温計はお尻に差し込むため、動物が痛がらないように先端が柔らかくなっている。

先輩動物看護師の板倉未奈さんに、チーム医療の状況報告。「亀井くんは、見学に来た学生のときからよく質問するタイプで、コミュニケーション上手。チームは、いつも笑顔だよね」と板倉さん。

チーム医療を大切にするためのアイデアも、スタッフ全員で考える。休憩室の前にポストを置き、「誕生月のスタッフに感謝のメッセージを贈ろう!」という取り組みも、その一つだ。

職業柄、ペットを飼っているスタッフが多い。エキゾチックアニマル(イヌやネコ以外の小動物の総称)が好きという亀井さん。自宅ではデグーと、リス科のリチャードソンジリスを飼っているそう。

動物の命と常にかかわり、その子にとってより良い治療法や看護方法を考えていくという自分の夢がかなえられています。

―今の仕事につながるきっかけは?
子どものころから動物が好き。
瀕死のネコを救えなかった経験から、
動物の命を救える人になりたいと思った
動物好きだった両親の影響もあり、子どものころから動物の面倒を見ることが大好きで、ウサギや小鳥、ハムスターなどを飼っていました。動物にかかわる仕事をしようと決めたのは、中学2年の冬。道に倒れていた瀕死のネコを救えず、とても後悔をしたことから、動物の命を救える人になりたいと思ったことがきっかけです。その夢を実現するには専門知識が必要だと知り、必死に受験勉強をして普通科高校に行くより、専門学校で好きなことを学ぶお金を貯めようと考えて定時制高校へ進学。昼間はアルバイト、夜は高校に通って勉強と部活(テニス部)というハードな4年間を過ごし、目標金額を貯めました。専門学校で3年間学び、今の病院に就職。夢を実現するために自分でプランを立て、学費を稼ぎ、動物看護師の仕事に就けたことは、「頑張れば、夢は実現できる」という大きな自信になりました。自分が理想とする動物看護師になるために、これからも努力あるのみです。
中学2年生
道に倒れていた瀕死のネコを救う方法がわからず、その場を離れてしまってとても後悔したことから、動物の命を救える技術を身につけ、仕事にしたいと考えるようになる。
高校1年生
自分の夢を実現する方法を両親やペットショップの人などに聞き、専門知識が必要だと知る。専門学校で勉強するための学費を貯めようと考えて定時制高校に入学。
高校4年生
担任の先生から専門学校の選び方を教えてもらい、志望校を3校に絞ってオープンキャンパスに参加。動物看護と理学療法がしっかり学べる3年制の専門学校への進学を決める。
専門学校3年生
理学療法を学んでリハビリに興味をもち、骨と神経疾患の専門動物病院への就職を考えていたが、夜間の救急診療を行う総合動物病院にも興味があり、見学に行く。
専門学校3年生
見学した病院の中でも、先輩動物看護師の知識量の多さと技術の高さに圧倒された日本動物医療センターにインターン実習を志願。ここなら成長できると感じて就職を決める。

学校も、就職先も、「動物看護師として多くを学ぶことができ、自分が成長できる場所であること」を大切に考えて選びました。
―仕事を通してこれから叶えたい・考えていきたいことは?
ペットは家族の一員。動物との共存を目指し、
高度なリハビリや看護を提供するには?
病気や怪我で手術をした動物たちを回復させるためには、筋肉量を落とさず、関節を拘縮させないリハビリがとても大切です。新しくできた国家資格(愛玩動物看護師)を取得すれば仕事の範囲が広がり、獣医と相談しながら入院動物の細かいリハビリプランを立て、自分でリハビリを実践することができるので、とても楽しみにしています。今は休日に動物のリハビリ専門施設に見学に行くなど、勉強をして自分の知識を増やしています。

―その目標を実現する上での課題は?
第一歩は、「愛玩動物看護師」の
国家試験に合格すること!
動物看護師はこれまで民間資格でしたが、年々需要が増え、高度医療が必要になっていることから、「愛玩動物看護師」という国家資格ができました。これから大学や専門学校で動物看護を学ぶ人は、卒業後にこの国家試験に合格することが動物看護に従事する条件になります。ぼくも、2023年春の第1回国家試験を受けるので、今年は勉強の年。資格を取得すれば、採血や投薬、マイクロチップ挿入など、できる仕事が広がるので楽しみにしています。
ぼくは動物の命を救いたくて今の仕事を目指しましたが、動物関係の仕事には獣医やトリマー、飼育員、厩務員、動物セラピーなどもあります。仕事と一緒に、必要な資格も調べてみるといいと思います。
この仕事人と関わりが深い 学問 は …「 獣医・畜産学 」
「 獣医・畜産学 」の文理度合い
※仕事にはさまざまな学問の知識がかかわりますが、その中で代表的な学問を表示しています。